◯ 絵本『水たまりの王子さま』山崎陽子/作、安井淡/絵
◯ 絵本『もりもりくまさん』長野ヒデ子/作、スズキコージ/絵
これまで長年、朝の読書タイムは1~3年生までしか入れていなかったが、今学期から初めて上学年にも入れることになった。嬉しい。
今日はその初回で、4年生。ほぼ1年ぶりの再会だった。成長ぶりにびっくりした。体格もそうだが、中身もやっぱり3年生とは違うな~という感じ。私と話すときもちゃんと敬語を使える。
メインの絵本として、『水たまりの王子さま』を用意した。これは月曜日に児童館(1~3年生)で読んだ絵本だが、ぜひ4年生にも聞いてもらいたかったのだ。ただ、10分では読みきれないので、早めに教室に入ってなるべく早めに始めようと目論んで。
ところが、教室に入ってみると、半分ぐらいの子しかいない。霧雨にもかかわらず、校庭でサッカーや縄跳びをしているらしい。
私は時計をチラチラ見ながら、何時に始められるかな、間に合うかな、もしダメならあきらめて別な絵本にするしかないかな、などと考えていた。
すると、ありがたいことに「今日は読書タイムです」の放送が早めに入った。続々と子どもたちが戻ってくる。
そして、さらにありがたいことに、担任の先生は全員席に着いて静まるのを待たずにさっさと朝の挨拶をして、私が始められるようにしてくれた。これには本当に助かった。
先生によっては、「ほら、◯◯さん、早く席について」「◯◯さん、姿勢が悪いよ」などと注意して全員きちんとさせ、さらに「はい、日直さん、誰?」と確認して、モジモジする日直さんを促して挨拶の掛け声を言わせたりするので、それだけで数分、ヘタすると5分ぐらい無駄になってしまう。
その点、この先生はわずか10秒ぐらいで済んでしまった。よかった。これで長い絵本も読める!
『水たまりの王子さま』
全員最初からシーンとして集中してくれたので、とても読みやすかった。少し早口かな?とも思ったが、何しろ地の文からして "べらんめえ調" のスリの男の語り、という設定なので、あまりゆっくり読んでもおかしい。
この絵本には、いくつか、子どもたちには分かりづらいかもしれない部分がある。
ひとつは
おれの かおはんぶん かくしていた ハンチングが おっこっちまった
というところ。「ハンチング」は分からないだろうな。その場面には男の横顔が描かれているので、私はそこでその男のハンチング帽をさりげなく指さした。
また、後半で、スリはやめたはずのこの男が、女の子のためについ、車椅子を盗んでしまい、女の子を乗せて野原に行こうと有頂天になったところで、
そのゆめを ぶちやぶったのは おまわりの よびこだった。 あっちからも、こっちからも---。
これだけで、男が逮捕されたということがわかるかどうか不安だったので、児童館で読んだときはここで小声で「逮捕されちゃったのね」と付け加えた。でも、4年生は大丈夫かと思い、単にゆっくりめに読んで間をとるだけにした。
その次のページ、
三か月も ぶちこまれてた おれ、まっさきに あの露地に とんでいったが、
と、いきなり来る。「ぶちこまれてた」だけで刑務所に入っていたことがわかるだろうか? ここは4年生でも不安だったので、児童館の時と同様に「刑務所に入れられてたのね」と小声ですばやく説明を入れた。
最後の2ページは感動的なところなので、さすがにゆっくり読んだ。
『もりもりくまさん』
全員よく聞いてくれて、しんみりとなっていた。児童館ではこのまま余韻を楽しんでもらってよかったのだけど、今は朝の読書タイム。このままの雰囲気で1日を始めさせるのは気が引ける。
だから、もったいないと思いつつ、気分を変えるために定番の明るい『もりもりくまさん』を出した。
「これ、覚えてる人?」と聞くと、さすがに全員の手が上がった。
明るい色彩とノリノリのリズムの言葉。あっという間に読み終わるが、気分を明るく変える効果は十分にあったと思う。
全部で15分弱。早めに始められたので、後にはみ出すことなく時間通りに終えることが出来た。