尊敬する松岡享子先生の講演を聞ける機会があるときいて、興奮して駆けつけた。
80歳の誕生日を迎えられたとのことだが、とても若々しく、姿勢もよく、話し方はしっかりしていてしかも優しく柔らかい感じだ。こんな風に素敵に歳を取れたらいいなあと憧れる。
講演の内容で心に残ったのは・・・
何十年も心に残って、生きる支えとなるような言葉をかけてもらった経験がある人も多いと思うが、そのような言葉は日常接している人から受けるよりも、むしろ本から得ることのほうがずっと多いと思う。
しかも本ならば、どんなに離れている人の言葉でも、どんなに昔の人の言葉でも、制限がなく、働きかけてくる。
1冊の本のおかげで辛いことから救われたり、全身全霊で本の言葉を受け止め強い影響を受けたりすることがある。
しかし、それらの言葉を受け止めるには、受け手側の言葉の力も必要。
最初から「おもしろい本」というのはなく、それを読んでおもしろいと思う読者がいて初めて「おもしろい本」になる。
子どもたちの、本を楽しむ力、言葉の力を育てるにはどうしたらいいか。
幼いころに、自分の言うことを身近な大人にわかってもらえるという信頼関係を持つことが大切。「言葉がけ」が大切だとよく言われるが、もっと大切なのは「よく聞いてやること」そして理解してやること。
テレビが常につけっぱなしの家では、自分に無意味な雑音が多く、快い親の声がぼやけてしまう。また、テレビから流れる言葉は早口で意味が無いものが多い。早口だと言葉は弱くなる。
雑音のない静かな時間が必要。
絵本の読み聞かせでも、普通に話すときでも、ゆっくり話すことが大切。そうすると、呼吸もゆったりしてきて、入ってくる言葉は心の奥深くに入る。
良い文章は読んでいるうちに元気になってくる。深い呼吸をするようになるから。
そして、驚いたのは時間ピッタリに終わったこと! 誤差は1分以内。これ、意外と大事なことだと思う。
出口で握手していただいた。ふっくら柔らかい手だった。