◯ 本の紹介 『ねらわれた星』 星新一
◯ 絵本 『かぞえうたのほん』 岸田衿子/文、スズキコージ/絵
初めての6年生。
読み聞かせではなく、本の紹介をして欲しいとのリクエストだったので、星新一のショートショートを選んだ。
学校の図書館には子ども用にセレクトされたシリーズがずらりと揃っているのに、まったく動く気配がない。ぜひ読んで欲しいと思っていた。
『ねらわれた星』
その中から一番とっつきやすいと思われる『ねらわれた星』を選んだ。この中には19編のショートショートが収録されている。
まず、「星新一って知ってる人?」と聞いてみたが、一人も手をあげない。なんてこった。
そこで、まずショートショートの説明、私が君たちぐらいの時に夢中になって読んだこと、大人になってからも時々思い出すこと、何十年も昔に書かれたのに全然古臭くないこと、未来を予言しているような風刺がきいていること、などを話した。
そして、今日は「妖精」というショートショートを朗読した。
昨日から読みの練習をしていたので、結構自信がついていた。地の文は低めの声、主人公の女の子ケイは真ん中ぐらいの声、そして、妖精は高い裏声を使った。声色はあまり大袈裟にするとしらけるので、どんな感じに聞こえるのか、うちで何度も録音して研究済み。
読み始めると次第に子どもたちが引きこまれてくるのがわかった。
ケイのところに現れた妖精は、
「妖精はどんな願いもかなえてあげるけど、同時にその二倍がその人のライバルにもたらされるのよ」
と言う。ケイにはアイというライバルがいて、何でもちょっとだけアイの方が優れているような気がして、それが悩みの種だったのだ。
妖精とのやり取りが進み、最後にケイはどんな決断をしたか・・・そのオチの手前で本を閉じた。
子どもたちから、ええっ?!と声が漏れる。
いかにも姑息だが、「続きは図書館で借りて自分で読んでください」と引っ張ったわけだ。
実はこの「妖精」は10ページほどの短いショートショートなので、全部読んでも8分ぐらいしかかからない。
準備を始めた段階では、この1編を読んで聞かせて、他にもこのような短くて面白いお話がいっぱい詰まっているから読んでね、と言おうと思っていた。
でも、何度か読む練習をしているうち、これはもったいつけてオチを読まずに打ち切った方が効果的ではないかと考えたのだ。
図書館の司書の先生には、ちゃんとお話して、星新一の本は入ってすぐの一番目立つところに並べてもらった。そこは私のお薦めの本を並べるコーナーにしてくれているのだ。
私はあまり気が付かなかったが、教務主任の先生や校長先生が見に来てくださっていたとのこと。うまく効果が出て、こういう機会をもっと作ってもらえるといいなあ。
『かぞえうたのほん』
そして最後に、定番の絵本から『かぞえうたのほん』を読んだ。
「懐かしいでしょ? 覚えてる?」と聞くと、ニコッとして、うんうんとうなずいてくれた。
10分。