◯ 絵本『字のないはがき』向田邦子/原作、角田光代/文、西加奈子/絵
「みんな、どのくらい本を読んでいるのかな?」と言うと
あ、やばい、と焦ったような顔をした子が多かったものの、
「6年生になってから、雑誌やマンガ以外の本を3冊以上読んだ人?」ときくと
ああ、そのくらいなら、とホッとした顔で、ほとんどの子が手を上げた。
この2ヶ月に3冊以上読んだのなら上出来だと思う。感心した。
『字のないはがき』
「向田邦子さんという脚本家を聞いたことがある人?」ゼロ。
それで、向田さんの紹介と、戦争中の御本人の思い出を書いたものだということを説明をしてから読み始めた。
これは、とてもとても素晴らしい絵本。
向田さんの元のエッセイもいいのだが、その魅力を余すところなく絵本にまとめた角田光代さん。角田さんは大の向田邦子ファンだそうだ。
そして、西加奈子さんの絵がまた素晴らしい。力強いクレパス(?)の線。そして、背景までも微妙に色を加えながらガッチリ塗りつぶしている。
人の顔は一切描かず、小さなたんぽぽで幼い妹を象徴し、下駄で7人家族を表している。いつもは怖かった父が妹を抱いて号泣するところは、膝をついた父の足の間に、赤い鼻緒の草履を履いた妹の足だけが描かれている。
終わってから、この話は中学2年の国語の教科書に載っているから兄姉がいる人は読ませてもらうといい、と話した。
また、西加奈子さんが直木賞作家でもあること、「まく子」という小説では挿絵も描いていることなど紹介した。
なにか興味を持ってくれるといいな。
『こんにちワニ』
「では、もうほとんど時間がないけど、お馴染みの絵本を・・・」と言うと、「くまさん・・」と小さな声が聞こえた。ああ、「もりもりくまさん」だと思ったんだ。それも私の定番だけど、今日は1分もなかったので、こっちにした。
裏表紙を見せると「こんにちワニ!」とわかってくれた。
楽しく読んで終わりにした。
10分。