おはなし会の時は常にかばんに入っていて、何度でも登場する定番絵本たちがある。小学生でも「もう一回!」の呼び声がかかるような、楽しい絵本だから。
その1『こんにちワニ』 中川ひろたか/文、村上康成/絵
もう10年以上前から定番の地位を保っている。
見開きで「こんにち ワニ」「いただき マスク」という具合にダジャレになっている言葉遊びの絵本。子どもたちは1ページ毎に笑ってくれるし、おなじみになってくると一緒に唱えてくれる参加型絵本にさえなる。
言葉が少ないので、普通に読んでも1分もかからない。最後は「さよな ラーメン」「ごきげん ヨーヨー」なので、締めの一冊にピッタリ!
その2『かぞえうたのほん』岸田衿子/文、スズキコージ/絵
「すうじさがしかぞえうた」「いーいーいーかぞえうた」「ひのたまかぞえうた」「ききたいかぞえうた」「へんなひとかぞえうた」「すいぞくかんかぞえうた」が入っている。それぞれ、1~10までの数え歌になっている。言葉も絵も面白く、子どもたちはよく笑ってくれる。
特に人気なのは「へんなひとかぞえうた」。「いちくん いちごの たねだけたべた」とか「よんくん ようかん よくにてたべた」など、1行毎に大笑い。
何度読んでも、これを取り出すと「あ、それ、おもしろいやつだ!」とみんな喜んで目が輝く。
その3『もりもりくまさん』長野ヒデ子/文、スズキコージ/絵
これは、色が明るくて派手で、それだけで楽しくなる絵本。言葉は「もりもりくまさん もりのなか もりもり もりもり もりの うち わお!」と調子がいいので、元気よく読む。自然発生的に「わお!」を一緒に言ってくれるクラスもある。
エネルギーに満ちていて、朝の読み聞かせには特に適していると思う。ちょっと重めのお話の絵本を読むと、そのまま重い気分を引きずって1時間目の授業に入るのはかわいそうな気がするので、そういう時はこれで気分を変えて元気に一日を始めてもらう。
これも、短くて時間調整にはピッタリだし、わざと早口で読むとそれはそれで楽しい。そうすればこれも1分もかからないから、重宝している。
その4『トイレとっきゅう』織茂恭子
これは、シュールな話。おしっこをしたくて目を覚ました主人公の男の子がトイレに行くと、トイレが「きょうは トイレの えんそくだ。 らんらんらん うれしいな」と楽しそうに遠足に出かけて行くところだった・・・。
奇想天外なストーリーに驚くけれど、なぜか人気がある。最後はその男の子がゴキゲンで「しっこがわ」で泳ぎながらおしっこをするという微妙な結末なのだが、子どもたちは「うへー」と言いながらも楽しんでいる。
その5『カニツンツン』金関寿夫/文、元永定正/絵
これこそ、言葉の音を楽しむナンセンス絵本。「カニツンツン ビーツンツン カニチャララ ビーチャララ」など、練習しないと読むのがちょっと大変だ。
意味は無いが、リズムに乗った言葉の音とカラフルな絵とともは心地いいらしい。各ページに必ず表れるカニのようなものが「ツン」とか「ツンツン」というので、私はそこを強調して指さしながら読む。
これも、時間がギリギリの時は頑張って高速読みすると、楽しい。つっかえたらつまらないので、読む方は覚悟がいるけど。
これらは、何度も読んでも喜んでくれる。私も長年で何回読んだかわからないほどで、すっかり馴染んでいるので安心感がある。
定番絵本は子どもたちの中に長く残ってくれるんじゃないかと期待している。小学校での読み聞かせは3年生までなのだが、時々中学生ぐらいの子から「『こんにちワニ』読んでもらったよね!」とか「カニツンツン ビーツンツン、…」とか言われることがあり、覚えていてくれたのかと嬉しくなる。
私が決めたのではなく、子どもたちの支持を受けて自然発生的に定番になった絵本たち。これからも末永くお付き合いしていこうと思う。