◯ 絵本 『むらの英雄』わたなべしげお/文、にしむらしげお/絵
◯ 本の紹介 『ドングリ山のやまんばあさん』富安陽子/作、大島妙子/絵
◯ 絵本 『こんにちワニ』 中川ひろたか/文、村上康成/絵
5分くらい前に教室に行ってみると、まだ半分ぐらいしかいなかった。これで時間通り始められるのかなぁと不安になリながら待つ。やがて、続々帰ってきた。外で元気に遊んでいたらしく、頬は紅潮し、熱気が体から立ち上っているような男の子たち。みんなすぐに席に着く。
そして、なんと、時間になると全員が席について準備ができていた。ウロウロする子もいなければ、他のことに気を取られている子もいない。さすが5年生。
『むらの英雄』
「これは1年生や2年生に読んでもわからないんだけど、5年生はどうかな?」と言って読み始める。
12人の男たちが小麦の袋をかついで村に帰る途中、人数を数えてみると11人しかいないということに。それは数えている本人を数え忘れるからなのだが、みんなは「一人足りない」と騒ぎ出す。
そこから、ヒョウに食われたんだろう、武器も持たずに勇敢に戦った・・・などと、ありもしない話がいつの間にかできていく。
そのおかしさは、大人にはよくわかるのだが、この5年生にはどうだったかな。笑うなどの反応はなく、不明。
『ドングリ山のやまんばあさん』
次に、私の大好きなこの本を紹介した。学校の図書館にはシリーズで揃っているのだが、ほとんど誰も借りないとのこと。このクラスでも読んだことのある子は一人もいなかった。
296歳でありながら、すごい俊足、馬鹿力の持ち主で、とにかくすごいおばあさん。やまんばだから当然だけど。
そのやまんばあさんは、ずっと山奥に住んでいたため人間と接したことがなく、この本の後半で初めて人間と出会ったり、町に出かけて行ったりする。自動車を変な動物だと思って駆けっこをしたり(髪を振り乱して猛スピードで後ろから走ってくるやまんばあさんをミラーで見た運転手の驚いたこと!)、風船を空に浮かんでいるおまんじゅうだと思って棒で突き刺してしまったり、とにかく突拍子もないことをして大騒ぎになる。
私も何度も声を出して笑ってしまった。
そんな内容を少し挿絵を見せながら話して、紹介した。ぜひ図書館で借りて読んでね、と。
みんな身を乗り出して聞いてくれていたから、少しは興味を持ってくれたと思う。司書の先生には、目立つところにコーナーを作って並べておいてくれるように、今朝頼んでおいたから、万全だ。多くの子が読んでくれるといいなあ。
『こんにちワニ』
締めは「久しぶりでしょ」と言ってこれを出した。みんな「!」という顔をしていたが、恥ずかしいのか声は出さない。
でも、「さよな ラーメン」「ごきげん ヨーヨー」と終わるので、最後に読むにはピッタリの絵本だ。
ぴったり10分。