◯ 絵本 『かっぱぬま』 武田美穂
◯ 絵本 『くものかたち』 フランスワ・ダヴィッド/文、わかぎえふ/訳、マルク・ソラル/写真
◯ 素話 『クモ女』 日本昔話
◯ 紙芝居 『はえとりぐものはっちゃん』高家博成/脚本、タダサトシ/絵
今日は43人。落ち着かない子が何人かいて、先生に怒られたり連れだされたりしていたが、なんとか落ち着かせてくれた。
まず、Oさんから。
『かっぱぬま』
武田美穂さんのいつものマンガっぽい太いタッチの絵。
このカッパは、人間や動物を沼に引き込んでカッパの仲間にしてしまうという。例えば犬は「かっぱ犬」にされてしまう。
ある日、けんたが大きな灰色ブチの馬に水浴びをさせようと、なんとこのカッパ沼に連れて来てしまった。カッパは早速ブチ馬を引きこもうとするのだが、力の強いブチ馬に、逆に引きずられて飼い葉桶に閉じ込められてしまう。
もうあんな悪いことをしないと約束するなら逃がしてやる、と けんたはあっけなく許すところが、なんとも言えない性善説。そして、このカッパはちゃんと約束を守って、おまけにけんたと仲良くなり、泳ぎを教えてやったりする平和な結末になる。
まあ、これはこれでいいのかもね。
『くものかたち』
次は、実際の空の雲の写真でできた絵本。くまの形、巨人の形、魚の形、おもしろい雲がたくさん出てくる。
でも、雲は基本、真っ白なので、遠くからではちょっと形が見にくかった。そして、各ページに何かしら詩的な言葉が添えられているのだが、子どもたちはだんだん飽きてきたみたい。結構長いのだ。
これは、集団読み聞かせではなく、手元でじっくり眺めたい絵本だと思った。
ここで私に交代。だが、児童館の館長先生がなぜか「それではみんな、ちょっと背伸びをしてみましょう。」とか「顔の体操して」とか、挟んできた。子どもたちがちょっとだらけ気味になったからだと思う。
でも、私としてはそのまま始めさせて欲しかった。
『クモ女』
なんとなくざわざわ落ち着かないまま話し始めたものの、間もなく静かに集中してくれた。
今日はこの後、蜘蛛の紙芝居を用意してあるので、昔話も蜘蛛に関する話を選んできた。最近は、少し関連付けてみようと考えているので。
この話は、ちょっと怖い。旅のお坊さんが古寺で一夜を過ごすことになるのだが、夜中に灰色の着物を着た女の人が赤ちゃんを連れてやってきて、その赤ちゃんを一晩預かってくれないかという。何か事情があるのだろうとお坊さんは承知する。
女が去った後、その赤ちゃんはお坊さんの周りをぐるぐると這い回り、お坊さんは次第に首のあたりがきつく感じられる。
結末もちょっと怖いけれど、このお坊さんは助かるし、天井裏から見つかった人骨の山と共に、蜘蛛の化け物もまとめて供養してやるので、いい話だな~と思った。
『はえとりぐものはっちゃん』
最後は紙芝居。
これは写真ではなく絵なのだが、主人公のハエトリグモを始め、出てくる虫たちやモズなどもとてもリアルに描かれている。しかも、ひとつひとつの生物が画面に大きく描かれているので、遠目からも見やすい。
ハエトリグモは、巣を張らないんだって。ハエに飛びついてつかまえるのだが、ハエトリグモ自身もいろいろな捕食動物や鳥に狙われたり、縄張り争いをしなければならなかったり、大変だ。
そんな生態を、物語仕立てでわかりやすく伝えてくれるので、いいと思う。
子どもたちも飽きずに聞いてくれた。
終わった後、この紙芝居の絵を見たがって4~5人の子が寄ってきた。興味を引いたみたい。
実質20分ちょっと。